心と体に寄り添う整体と料理教室

人に寄り添うこと、人を思いやること。
言葉にしたら簡単なようにも聞こえるけど、自分に余裕がないと他人を思いやるというのは意外に難しい。

相手のためだと思っても独りよがりかもしれない可能性もあるし、もしかしたら無意識に傷つけているかもしれない。

それでも、せっかく相手を思いやることを行動にも言葉にも表現できる人間に生まれたのだから、誰かのために何かしたいという温かい気持ちはいつまでも大切に持っていたいと思う。

独立という新たな挑戦

音更町に“人と体に寄り添う”という気持ちをコンセプトにした、整体と料理教室のお店『しゃりん舎』がオープンしたという情報を知ったのは、ひだまりの森で開催されているイベントだった。

最初は、どうして整体と料理教室なんだと疑問に思ったけど、同時に好奇心も湧いてきた。
これば取材しなければいけない!
そんな思いが巡り、早速アポを取ると快諾してくれた。

『しゃりん舎』は、ポカポカした光が差す閑静な住宅街にあった。

「こんにちは!お待ちしておりました!」

明るい声で出迎えてくれたのは、位田智章(いだ ともあき)さんと奥さんの位田知子(いだ ともこ)さんだ。

左が智章さん、右が知子さん

整体は智章さん、料理教室は知子さんが担当する。

整体と料理教室は、一見関係のない二つに思えるかもしれないけど、
“相手の健康を思いやる”という思いを軸に成り立っている。

木を基調としたぬくもりを感じられるお部屋

整体を担当する智章さんは、帯広市出身。
室蘭の高校を卒業後、理学療法士の資格を取るために札幌の専門学校へ進学。
資格を取得した後は旭川の整形外科と十勝管内の高齢者施設で理学療法士として働いた。

運動療法や物理療法などを用いて、失われた身体機能を回復させる治療法を行う理学療法士。技術はもちろん莫大な知識、コミュニケーション力が問われるので、とても大変な仕事。またお客様は高齢者が多いので、高齢者に対する知識も勉強しないといけないのだ。

「正直、就職する前は勉強もあまり好きでなく、遊んでばかりいました。でも理学療法士の資格をとってからは患者様、利用者様が対象になります。責任感が生まれ、日々勉強するようになりました」。

自分のお店を持ち、マッサージ師として働いていたお父さんの背中を見て育った智章さんは、資格を取った時から“独立”という考えが常に自分の中にあったそう。

18年の経験を積んで、44歳の時に『しゃりん舎』をオープンさせた。

「この18年間は、技術的なことはもちろん、それ以外のこともたくさん学ばせてもらいました。まだまだ学ぶことはたくさんあるけど、お客様を“施術させていただける”ということに感謝して、これからも頑張っていきたいなと思っています」。

感謝するという気持ちが、人を思いやるということに繋がっているのだと智章さんを見ていたら感じることができる。

生真面目さんが提案する家庭料理

料理教室を担当するのは、知子さん。
管理栄養士の資格を持ち、地元の食材を中心に心と体が温かまる家庭料理を提案する。
知子さんは、池田町の高校を卒業後、管理栄養士の資格を取るために札幌の短大へ入学。食物栄養学科で栄養学を学んだ。

「栄養学を学ぼうと思ったのは、中学校3年生の時の出来事がきっかけでした。当時から食べることが大好きでたくさんご飯を食べていたら体重が増加。このままではまずいと思ってダイエットを開始したんです。自分で弁当を作り、ご飯の食べる量を減らし、間食をしないように徹底。だけど、まだまだ成長途中の高校生。無理な食事制限によりどんどん体調が悪くなっていったんです。そこで食べ物の大切さに気づきましたね」。

短大を卒業後は、管理栄養士に必要な実務経験を積むため、札幌の財団に就職。

「管理栄養士の試験は難しいと言われ合格率も低かったので、とにかくたくさん勉強をしました。無事に合格して管理栄養士として就職もしたのですが、資格を持っていても自分には経験がないから、たくさん経験を積まないといけないとずっと思っていました。それでひたすら働いていたんですけど、ある日体調を崩しちゃったんです」。

自分のことを生真面目だと語る知子さん。
資格をとったから満足ではなく、そこからまた努力を重ねる。
着実に自分の実力をつけていったけど、体は限界を迎えていた。

「仕事をやめて休養している時に、ふと自分は狭いところにいるんだなと思ったんです。もっと違う世界も見てみたいと思い、思い切って世界一周旅行に参加することにしました」。

自分探しの旅へ出かける時に、日本ではなく世界に目を向けるのが、向上心の強い知子さんらしい選択だなと思った。

「海外には日本では食べたことのない食材を使った料理がたくさんあったので、凄く刺激的でした。1番記憶に残っているのがメキシコで食べたタコスかな。あと、コスタリカの豆ご飯。日本料理に似たような食材でも食べてみたら全然違うんですよ!」

料理の話をする知子さんは、子供のように無邪気で目がキラキラしている。
美味しそうな料理がたくさん登場するので、話を聞いているだけでお腹が鳴りそうだ。

海外を旅した時に出逢った様々な料理について話してくれたが、現在しゃりん舎で販売しているトマトソースのヒントもイタリアの料理留学で得たものだ。

「トマトソースの旨みのベースになるのは、セロリとにんじんと玉ねぎ。野菜を細かく切って、じっくり煮詰めることで甘さやコクがどんどん出てくるんです。深い味わいがあるけど、さっぱりとしているのでピザソースにしたり、お肉や野菜と合わせたり色々な楽しみ方ができます」。

確かに、濃厚な味わいなのにさっぱりとしている。
私はセロリの独特なクセが苦手だけど、このトマトソースは全然セロリのクセがない。
野菜っぽさもなく、トマトソースのみでも食べられるほど美味しいので、小さなお子様にもオススメだ。

“しゃりん舎”に込めた思い

十勝管内の高齢者施設で働いている時に出会った智章さんと知子さん。
結婚して3人の子宝にも恵まれ、幸せな生活を送っている。

しかし、ふとした時に人生の転機が訪れる。
昨年、智章さんが脊髄空洞症という難病になってしまった。

それが独立を決意したきっかけだった。

「病気になってふと、自分は仕事をいつまで続けることができるのだろう?と考えました。ちょうど独立したいと思っていたタイミングでもあったので、自分たちで頑張ってみようかとなりました」。

智章さんの独立と同時に知子さんは新しいことにチャレンジしたいという想いもあり、料理教室の先生として新たな道を進むことを決めた。

お店の名前でもある“しゃりん舎”は、子供が三輪車のことを「しゃりんしゃ」と呼ぶことからヒントを得た。

健康に必要なのは、運動・栄養・休息の3つ。この3つの車輪が上手に回るように手助けをしたいという気持ちが込められている。

想いが込められているロゴマーク

智章さんと知子さんが抱く『しゃりん舎』への思いとは。

「介護保険や医療保険の範囲ではリハビリを思うように受けられない人がいます。その方たちの受け皿になれたらと思っています。また、ご高齢な方や認知症状のある方、そのご家族の方々は多くの不安を抱えています、その不安を相談できる場として活動できればと考えています」。

「子育てに仕事など、毎日を必死に頑張るお母さんたちの手助けになるような、メニューの提案や商品開発をしていきたいです。また、十勝の食材を使うことで、地元の素晴らしさを再認識するきっかけになれば嬉しいです」。

最後に、智章さんにこれからの『しゃりん舎』の理想の在り方を語ってもらった。

「音更町に住む人が穏やかで健康な生活を遅れるよう、運動・栄養・休息のお手伝いができればと思っています。また、お客さんにとってホッと落ち着く場所にしてきたいです」。

地域の人に長く愛されるお店。
それは、智章さんと知子さんが共に目指すビジョンだ。

お客さんの気持ちに寄り添うことを大切にする2人なら、きっとずっと愛されるお店になると思う。

ふと、整体と料理を通してたくさんの人を笑顔にする智章さんと知子さんの姿が浮かんでなんだか幸せな気持ちになった。

しゃりん舎

住所:音更町中鈴蘭元町2–117
☎︎:090–4877–3928
営業時間:月〜金曜9:00〜17:00、土曜8:00〜12:00
定休日:日曜

Instagram:@t.ida_sharin

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