自分を信じて、どんな逆境も乗り越える

「努力は必ず報われる」。
その言葉を座右の銘に、自分の力を信じて努力を重ねる。
プロの道は決して平坦な道のりではない。

昨年の4月に三重県のサッカーチーム「ヴィアンティン三重」から、「北海道十勝スカイアース」に移籍した曳地 裕哉(ひきち ゆうや)。

193cmの恵まれた体格を生かし、ゴールキーパーとして活躍しているサッカー選手だ。選手活動の他にも、地域おこし協力隊スポーツコーディネーターとして、音更町にスポーツの魅力を発信する活動を行っている。

曳地さんのサッカー選手としての物語は、小学校3年生から遡る。
きっかけは、引っ越した先の小学校で1番仲の良い友達がサッカー少年団に入っていたことだった。
「当時は、サッカーがやりたい!という気持ちは正直あんまりなかったです。サッカーって面白いなと思ったのは小学校5年生の時。ゴールキーパーとして試合に出て、ファインセーブで試合に勝ったのが凄く嬉しくて、今でも記憶に残っています。そこからどんどんゴールキーパーの魅力にハマっていきました」。

小学校を卒業する頃には、プロを意識していたというから驚き。
その証拠は卒業文集にもしっかりと刻まれていた。

フットサルが強く、全道でも入賞するほどの強豪校の札幌厚別中学校へ進んだ曳地さん。

「中学校の生活の中で学んだことは、サッカーの技術より人間として大切なことでした。顧問の先生が厳しい人で、話す時はきちんと目を合わせる、挨拶はしっかりする、など基本的なことを教えてもらいました。人間性ってサッカーの技術にも繋がると僕は考えています」。

今は不定期に町内の少年団、中学校の部活動のコーチを行っている曳地さん。
自分が教える立場になったときに、この中学生時代に教えてもらった人としての正しい在り方をしっかりと受け継ぎ、サッカーの技術だけでない大切なこともしっかりと伝えていきたいと語ってくれた。

中学校を卒業後は、コンサドーレ札幌U?18のクラブチームに入団し、高校は家から近いところに通う。

授業が終わったら、クラブチームの練習に行く、という生活を続けていた。
周りのサッカー技術のレベルの高さに自信をなくしていく日々を過ごすが、今の自分にできることをひとつずつこなしていき、努力を重ねる。

高校の卒業と同時にコンサドーレ札幌と契約を交わし、プロの道へ。
「プロになりたいとはずっと思っていましたが、本当になれるとは思っていなかったです。なので、初めの頃は実感が湧かなかったですね」。

周りの期待や自分自身との葛藤など、悩みや逆行も全部自分の力に変えていくパワーを武器に掴んだプロの道。

どんなに辛くても、自分に言い訳せずにできることをひとつずつこなしていく、曳地さんの真面目さが夢を実現させた。

だけど、あくまでプロはゴールではなく、スタート。

プロ1年、2年目は苦労の日々だった。

「毎日コーチからたくさん厳しいことを言われて、肉体的にも精神的にも凄く辛かったです。今なら、コーチが言ってたことも理解することができるけど、当時は、なんでこんなに怒られるんだろうと考えていました。プロとしての自覚が足りず幼稚だったなと思っています」。

毎日の膨大な練習量とコーチからの厳しい言葉。精神的にも肉体的にも余裕をなくしていった。だけど、どんな状況でもサッカーをやめて別の道に進もうと思ったことはなかったという。

曳地さんにとってサッカーとは、人生の一部であり、魂の一つなのかもしれない。Jリーグデビューから5年目で愛媛県にある『愛媛FC』へ移籍。そこで3年プレイする。
その後は、三重県にある『鈴鹿アンリミテッドFC(現在は鈴鹿ポイントゲッターズ)と『ヴィアティン三重』でプレイして、『北海道十勝スカイアース』へ。
故郷である北海道で再びJリーグを目指すことを決めた。

将来は子供たちにサッカーの指導を行いたいと思っている曳地さん。
プロサッカー選手として、音更町の地域おこし協力隊としての今後の目標を語ってくれた。

「音更町の魅力の一つとして、十勝川温泉があると思うんです。なので、コロナが終息したら、温泉とスポーツを絡めたイベントを行いたいなと思っています。それと、子供が大好きなので、サッカーの指導も続けていきたいですね。1人でも多くの子供たちにゴールキーパーってカッコいいと思ってもらえたら最高です」。

曳地さんの奥様が帯広出身ということで、何回か帯広には訪れたことがある曳地さん。音更町は帯広市の隣町という認識だったそうだが、今の印象はどうだろうか。

「音更町は、なんでもある町。スポーツ施設や十勝川温泉はもちろん、食料品や日用品も揃うし、食べ物も美味しい。畑や牧場など、北海道らしい風景を楽しめるけど、田舎すぎない。そんなところがいいなと思っています」。

これからも地域と密着しながら、新たな挑戦に駒を進めていく。

取材・文/高山 茉実

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