“ひだまり”の力で広がる温もりのある輪

文章担当

高山 茉実(たかやま まみ)

音更町地域おこし協力隊/ライター

1996年生まれ。高校卒業後、地方情報誌の編集兼ライターとして約3年働く。現在は、音更町地域おこし協力隊とフリーライターとして活動中。

写真担当

大津 彩香(おおつ さやか)

1996年生まれ。北海道十勝在住。ポートレートを中心に広告、レストランのメニュー撮影、企業撮影などを撮影。また、最近は動画撮影や映像制作にも精力的に取り組んでいる。

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子供たちが存分と遊べる場所を造りたい

四季を感じながら、自然と一緒にのびのびと成長していく。

それって子供たちが素直に成長することに必要なのではないかと思う。

「こんにちは!どうぞおかけください!」

明るい声で出迎えてくれたのは、『家庭保育園ひだまり』のオーナー上原 崇志(うえはら たかし)さん。

上原さん(右)とプルカのスタッフでデザイナーの小野寺さん(左)

ハキハキと話す声が特徴的な明るい方だ。

上原さんがオーナーを務める『家庭保育園ひだまり』は、静かな住宅街の中に佇む、音更町の小規模保育園。

「いい場所ですね、ここ」。

思わず声に出してしまった。

「いい場所でしょ!僕も気に入っている!ここは、車の通りも少ないので、子供達が走り回っても安心。のびのびと遊べる環境が整っている」。

私がもう一つ気になったのが、独特な保育園バス。

一言で言うのなら、派手!黄色がとても目立つ。どこにいてもわかりそうだ。

車が好きだと語る上原さん。なんとこのバスは大阪から来たらしい。

「この保育園バスは元々、大阪のコミュニティーバスとして走っていたんですよ。それを買い取って黄色に塗装したんですけど、バスより塗装代の方が高くなって、業者の人にもびっくりされました。でも僕はどうしても黄色にしたかったから、そのまま黄色に塗装してもらいました」。

“いいなと思ったら曲げない”上原さんの規格外のこだわりがわかるエピソードだ。

今回取材させていただいた場所は、シンプルで洗練された空間に、上原さんがセレクトした日本国内で生産された子供服が並ぶ『purka(プルカ)』。展示している棚も上原さんの手作りだ。

海外から取り寄せたおもちゃも並ぶ

「お母さんたちや色々な人が集うコミュニティスペースを作りたいと思ったのがpurkaの始まりですね。ずっと家に1人でいるとストレスを感じるというお母さんも多い。だからこの場所で色々な人と話をして欲しかったんです。去年はコロナの影響で開催できなかったけど、イベントやワークショップなどもどんどん開催していきたいです」。

『家庭保育園ひだまり』に隣接しており、いつでも行き来することができるのも魅力のひとつだ。

30歳で大きな決断を下す

『家庭保育園ひだまり』は、以前取材させていただいたアマムエクルの岩本さんの自宅の2階からスタートした。

そう、岩本さんと上原さんはバンド仲間で旧知の仲なのだ。

「岩本さんは永遠の兄貴。もう一生頭が上がらないです(笑)」

自分のことを生粋のバンドマンだと語る上原さん。

小学校高学年の時にギターに出会ってからその魅力にすっかりとハマってしまった。10代頃は本気でプロのバンドマンを目指していたが、年齢を重ねることによって、社会という現実が迫ってくる。

「どこまで逃げても働かないといけない。それで仕方なく就職しました」。

そこから障がい者福祉支援施設に働いた上原さん。

働きながら、短大時代に出会った奥さんと結婚して子供も2人できた。

安定はしていたけど、30歳になった時にふと考えたという。

「本当にこのままでいいのだろうか?」

それが保育園を始めようと思ったきっかけだった。

以前から、子供たちが自然の中で無邪気に遊べる保育園があったらいいなと考えていた。

「僕も妻も保育士の資格があったので、理想の保育園を創りたいね。とは話していました」。

理想が現実に近づいたのは、岩本さんの言葉だった。

「悩んでいる時に、岩本さんが家の2階を貸すから保育園としてオープンしてみないか?と声をかけていただいたんです。この時にチャンスを与えていただいたから、今の僕がいる。その恩返しの一つとして、ひだまりの森での活動があるんだと思っています」。

仲間たちと造りあげた唯一無二の場所

「子供たちが思いっきり遊べる場所があればいいなと思って、1年半前に“ひだまりの森”を造りました」。

“ひだまりの森”とは、音更町東和地区にある離農跡地を上原さんが買い取り、元々あった母屋、馬小屋、小屋を仲間たちと一緒にセルフリノベーションした場所だ。

敷地の面積は約600坪。元オーナーさんが資材置きとして使用していたため、大量の木材が置いてあった。

「リフォームは自分たちでやるから人件費もかからない、木材も置いてあったものを使ったから材料費もかからない」。

改装費はタダ同然だったというから驚き。

母屋をリノベーションしている様子

先日取材させていただいた『Coco Li』の甫木(ほぎ)さんもこの“ひだまりの森”に集う仲間のひとり。他にも、甫木さんの旦那様がオーナーの自家焙煎珈琲店 甫(はじめ)やオーダーメイドアイアン家具専門店「アトリエWa-ka」、革職人のデザイナーなど、上原さんの熱い思いに引き寄せられた人たちが集まる。

『ベーグル専門店CocoLi』オーナーで 甫木さん

「これからも何かを始めたい人がどんどん増えていって、パンや珈琲を作っている人、革を使ってモノづくりをしている人など、面白い大人がいる場所として子供たちの記憶に残ると嬉しいですね」。

また、枯れてしまった井戸を復旧させた話もしてくれた。

「ひだまりの森に古い井戸があったんですけど、2ヶ月以上掘っても水が出なかったんですよね。もう諦めようかなと思っていた時に水が出てきた。もうね、すごく嬉しかったです。水がでた後に寿司を食べに行きましたからね」。

今まで色々な人にインタビューしてきたけど、井戸を掘ったという人には初めて出会ったのでびっくりしてしまった。

「井戸の水が出たので、手押しポンプを子供たちに体験させてあげたいなと思っています」。

上原さんの思いの軸にあるのが、やっぱり子供たちの笑顔。

子供がのびのびと自由に動きまわれる場所を造りたいという強い思いがたくさんの人の心を動かすのだと思う。

きっと、この場所でのびのびと遊べるのは、子供たちだけでなく、大人たちも一緒なのかもしれない。

私たちは、日々の生活と仕事に追われて“心を無にして思いっきり遊ぶ”ということを忘れてしまう。

だけど、無邪気な気持ちというのは、どんな大人の心の中にも絶対に隠れているはずなのだ。

もしかしたら、一生隠れて出てこないかもしれない。

だけど、「おいでー!」と誰かが声を掛けたら、案外簡単に顔を出してくれるもののような気もしている。

この“ひだまりの森”は、そんな大人の無邪気な心に声を掛けてくれる暖かい場所だ。

「何か新しいことを始めるのには不安もある。だけど、勇気を出して1歩踏み出してみるとサラリーマン時代では出会えないような人たちに出会うことができる。それってすごい人生の財産だと思うんですよ。僕もあの時に保育園を始めるという選択をしたから、今仲間たちと一緒にワクワクすることをできていると思うんです。なので、あの時の自分の選択に感謝したいです!」

そう言って豪快に笑う上原さんの姿は、まさに“ひだまり”そのものだった。


家庭保育園 ひだまり

住所:音更町木野西通19–23

☎︎:0155–66–4552

HP: https://kateihoikuen-hidamari.com/


木のおもちゃ こどもふく purka

住所:音更町木野西通 19–23

☎︎:090–9436–4552

営業時間:11:00〜17:00

定休日:日曜、月曜、不定休

NonNo(ノンノ)としても活動中!
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