負けず嫌いの精神で挑戦を続けるパン屋さん

負けず嫌いとは、常に自分と戦い続けること。
比べる相手が他人ならいつかは勝負がつくだろうけど、その相手が自分自身なら、一生戦い続けないといけないのかもしれない。

2017年にオープンした『はるこまベーカリー~はなれ~』。
素材の味を生かした、80種類のパンが並ぶ人気店だ。

オーナーの小林 大悟(こばやし だいご)さんの温厚な笑顔の裏には、負けず嫌いの根性と職人気質のパンに対する熱い想いが隠されていた。

「自分の作ったパンならお客さんが入ってくれると自信がありました」。
穏やかな表情だが、凜とした眼差しでそう語る小林さん。
小林さんの揺るぎないこの自信は、今までの人生で培った経験からくるものだった。

実家が自営業ということもあり、自分の技術で食べていく両親の背中を見てきた小林さん。
自然と自分も技術を生かして、食べていくというビジョンが浮かんでいたそう。
「その時に1番近くにあったのが、料理でした」。

調理師学校を卒業後、講師をしていた『ル・ボルドー』の加藤和彦シェフに誘われ、就職。フランス料理店のスーシェフとして、約2年間働いた。

「ランチメニューを任せていただけたりと、たくさんのことを学べました。シェフとは今でも交流が続いており、会うと頭をヨシヨシされます(笑)」。
シェフにとって、小林さんはまだまだ可愛い弟子なのかもしれない。

『ル・ボルドー』を退職した後は、地元の老舗パン屋に就職。
求人を見て応募ではなく、採用してほしいと直談判に行ったというから驚きだ。
強い意志が伝わったのか、即採用。小林さんのパン職人の道がスタートした。


パンを作る技術は、先輩職人に教わりながらも独学で学んだ。
ここでも小林さんの負けず嫌いの精神が炸裂する。
「人に教えてもらうのがあまり好きではなかったです。パン作りのことだけでなく、人より先に行きたい!という気持ちが常にありました」。
自分の腕を信じて技術を磨いていくという固い意志のもと、小さな努力をひとつずつ正確に積み重ねていく。

その後、『はるこまベーカリー』へ転職するが、老舗パン屋の新店舗立ち上げメンバーとして、再び戻ってくる。新店舗は、“十勝産の小麦を使う”をコンセプトにしたお店。新商品の開発や小麦粉のブレンドのテストなど、10年かけて様々な経験を積んでいく。
「新しい商品を販売しても、すぐに結果を見えないので本当に売れるのかな?という不安はありました。お客様の反応を見ながら、試行錯誤を重ねていました」。

『はるこまべーカリー』ではオーナーである栗原シェフから、“技術は見て覚える”ということを学んだ小林さん。その心構えは、今でも胸にしっかりと刻みつけられている。
「小麦の収穫は1年に1回。つまり農家さんの一生でも多くて数十回しかない。そのことを忘れないで1回のパン作りに重みを持たせなければいけない。という栗原シェフの言葉がすごく印象に残っています。僕は今でもその言葉を忘れず、常に美味しさの追求をしています」。

栗原シェフのパン作りの技術や情熱をずっと隣で見てきて、たくさんのことを学んだという。

「パンは、その日の気温や天気によって生地の発酵時間が違う。これは実際に生地に触ってみないとわからなので、言葉で伝えるのが難しいです。なので、誰かに教えてあげたくても教えてあげられない。結局は、パン作りの経験を積むしかないと僕は思っています」。
パン作りで大切なことは、小さな気付きの積み重ね。
毎日パンの生地に神経を注ぎながら向き合い、職人の感覚を育てていく。

オススメの商品は、「バケット 234円」。
発酵させるだけではなく、熟成させ、高温で焼いているのが特徴だ。外側はパリっとしていのに、中身はもっちり。噛めば噛むほど、小麦の風味や味わいが口の中に広がっていく。そのまま食べても美味しいけど、オリーブオイルと塩をパンにつけて食べるのが小林さんイチオシの食べ方。

2016年に劇症型心筋炎を発症し、約1ヶ月間意識不明の重体だった小林さん。
無事に意識を取り戻したが、1ヶ月眠っていた体は筋力が衰えていたため、リハビリ生活がスタートした。それが『はるこまベーカリー~はなれ~』オープンの9ヶ月前の話。
今も薬を飲みながら、治療を続けている。
リハビリを続けながらも、新しい店舗としてオープンすることに不安はなかったのだろうか。
「不安はもちろんありました。だけど、やるしかない!と思ったんです。僕の帰る居場所はやっぱりここだったから」。

小林さんにとって『はるこまベーカリー~はなれ~』とは、かけがえのない、特別な場所だ。

「オープン前に病気をしたりと色々なことがあったけど、それも全部いい経験になっています。これからも自分にできることをひとつずつこなしながらも、北海道で1番人気のパン屋さんを目指していきたいです」。

人生に無駄な出来事なんてひとつもない。
自分の体験した経験を武器にどこまでも真っ直ぐに突き進む。
「やるしかない」。
壁にぶつかってしまった時こそ、この言葉が心強い。
限界なんて決めず自分の力をひたすらに信じる小林さんの姿は、とても頼もしく輝いている。


はるこまベーカリー 〜はなれ〜

住所:音更町木野大通西13-1-11 クロスタウンおとふけ

電話番号:0155–66–7034

営業時間:10:00~19:00

定休日:火曜 ※祝日の場合は営業、翌日振替休み

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