仲間と力を合わせて造り上げたベーグル専門店

「“体に優しく”にこだわりを持ったパンを作りたかったんです」。
そう笑顔で語ってくれたのは、2020年8月にオープンしたベーグル専門店『CocoLi(ここり)』のオーナー甫木 志織(ほぎ しおり)さん。
太陽のような笑顔が眩しい、2人の女の子を育てるお母さんだ。

店名もお子さんの名前を組み合わせた造語で、看板も女の子2人が描かれている。
『CocoLi』は、火曜と水曜のみオープンで、“体に優しく”をコンセプトに素材にこだわったベーグルを販売している。SNSや口コミで話題になり、ファンも多く、オープン前から待っている人もいるほどの人気。

セレクトショップのように並べられたベーグルは、まるでインテリアのひとつのように洗練された雰囲気を放っている。
ベーグルとは、パンの一種で原材料が小麦と水、塩、イースト菌のみで作られており、バターや牛乳、卵を使わないためアレルギーの方でも安心していただくことができる。
もっちり、どっしりとしたハード系の食感を楽しむことができるのも特徴のひとつ。
噛みごたえもしっかりとしているので、満腹感が得られ、ダイエット中の人にもオススメなのだ。

そんなベーグルだが、十勝には専門店がなくあまり浸透していないイメージがある。
なぜ、甫木さんはベーグルを選んだのだろうか。
「きっかけは、夫がボディメイクの競技者として活動しており、減量のため食事制限をしていたことです。カロリーが抑えられて美味しいものが食べられたらいいな、と思ったんです。そこで思いついたのが、ベーグル。素材にこだわったベーグルなら、子供たちも安心して食べることができます。また、十勝に専門店が少ないのも気になっていました」。
ベーグルを作ると決めてから、試行錯誤を重ね約1年。やっと納得のいくベーグルが完成した。

オリジナルレシピで長時間発酵させたベーグルは、子供が食べやすいように柔らかめなのが特徴。「プレーン ¥220」の他、ブルーベリーを生地に練り込み、中にクリームチーズがたっぷり入った「ブルーベリークリームチーズ ¥380」、砂糖ではなく、デーツの自然の甘みを感じられる「デーツチョコ ¥380」など通常商品や季節限定商品が並ぶ。
甫木さんの大切な人を思う気持ちが伝わるベーグルは、素朴で優しい味がする。


ベーグルを作り始めて1年目は、イベント販売のみだった。
そこでお客さんからいただいた意見やアイデアを反映させながら、技術を磨いていった。
「そろそろお店を持ちたいなと思い土地を探していたところ、ちょうどタイミング良く土地と物件に巡り会えたんです」。
主屋と木小屋、馬小屋があり、自分たちでリノベーションするところからスタートする。
「ひだまり保育園を運営されている上原 崇志(うえはら たかし)さんに協力してもらいながら、少しずつリノベーションしました。空き家だった建物に木がたくさん入っていたので、材料には困らなかったです。私も夫もリノベーションの経験が全くなかったので、本やネットなどで調べながら手探りで頑張っています」。
土地に巡り会えたのも、リノベーションしてお店をオープンできたのも上原さんの存在が大きかったという。
物置小屋の他にも主屋と馬屋があり、甫木さんの旦那さんがコーヒースタンドとしてオープンする予定だ。

自分たちの居場所は、自分たちで作る。
言葉にしたらとても簡単だけど、実行するのは凄く難しいこと。
ひとりでは出来ないことは、仲間や夫婦で力を合わせて乗り越えていく。
そこで生まれた人を思うことや感謝の気持ちは、自然とベーグルの美味しさにも繋がっていく。
「コーヒースタンドが完成したら、その場でベーグルとパンを楽しめるカフェも作りたいなと考えています。地元の人がのんびり過ごせる場所になってくれたら嬉しいです」。
ワクワクした気持ちを素直に受け止める甫木さんの笑顔は、キラキラと輝いている。
CocoLi
住所:音更町字東和東2–59–9
電話番号:080–6712–8172
営業時間:11:00~15:00
定休日:月曜、木曜、金曜、土曜、日曜
取材・文/高山 茉実
写真/川嶋 直道
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