ブラジルで挑戦を続けた夫婦の物語

 

住み慣れた土地を離れて、環境も言葉も文化もまったく違う場所に行くとき、不安と緊張で少し身構えてしまう。

それが新しいことにチャレンジするならなおさらだ。

そんな不安さえも味方に変えてしまうのが、『BrasilCafe BON』の店主、谷川 悟(たにかわ さとる)さんとその奥様の谷川 節子(たにかわ せつこ)さん。

いつだってピンチを味方に変え、自分たちで道を切り開いてきた。

小学校の教員をしていた谷川さんは、お兄さんたちがブラジルにいたこともあって、日系の子供たちが上手に日本語を話せないことが気になっていた。いつかは、現地でボランティアとして日系ブラジル人に日本語を教えてあげたいと思っていたそう。

「定年まであと1年って時に、ボランティアの話をいただいたんですよね。周りは、あと1年なんだから辞めない方がいいと言っていたけど、僕は教師をやめてブラジルに行くことを決心しました。奥さんも賛成してくれたので心強かったですね」。

ブラジルの行きを後押ししてくれた奥様の存在。前途多難でなるであろう道に向かって歩き進める2人の姿が想像できる。

日本の童謡を一緒に歌ったり、イラストが描かれた日本語のカルタを制作したりと、日本語教師としてボランティア活動をしながらも、ブラジルでの生活は過ぎていった。

移住して、5カ月を過ぎた頃から、谷川さんのもとに大使館から依頼が舞い込む。

それは、なんと日本の生活の様子を伝える資料館を作るということ。

しかも、用意されていたのは建物だけ。何もないところからのスタートだった。「大使館の方からお声掛けいただいた時は、さすがに僕もできない!と言ってしまいました。でも色々話していくうちに自分でもできるかもしれない、という気持ちになって、結局やってみることにしました」。

 

さすが谷川さん。難しいことでもとりあえずやってみる。この姿勢は、これから谷川さんが築き上げる様々な功績に繋がっていく。

 

たくさんの人が協力して、徐々に日本の物が集まっていった。1番多かったのが、「つばがま」や「アイロン」だ。途中、資料館に泥棒が入るなどのトラブルもあったが、助け合いながら乗り越えていき、約1年後に資料館が完成。

「大使館の方に谷川さんにお願いしてよかった。やると決めたらやる人だから任せたかったんだ。と言われたときは凄く感動しました」。

この資料館は、場所を移動したりと形を変えながらも、今もなおたくさんの方に愛されている。

その次のお仕事は、北海道出身の建設会社の社長からの依頼で制作したパークゴルフ場作り。サッカー場だった公園をパークゴルフ場に変更した。

草刈りからコース設計、穴掘りまで資料館と同様たくさんの人に助けてもらったと語る谷川さん。谷川さんが作ったパークゴルフ場で国際大会が開催されたこともあるそう。

その他にも、よさこいのチームや手作りの神社を制作したりと、たくさんの功績を残した。

全てボランティアで行っているのも、お金ではなく、人の繋がりを大切にしている谷川さんらしい考え方だ。

 

日本に戻って喫茶店をやろうと思ったのも、ブラジルの喫茶店でエスプレッソを飲んだのがきっかけ。

「初めてブラジルの珈琲を飲んだ時にこれはうまい!と衝撃を受けました。その時に、日本に帰ったらブラジル珈琲専門の喫茶店をやりたいなと思ったんですよね」。

ドリップや焙煎の方法は独学で学び、試行錯誤を重ねながら納得のいく珈琲ができるまで作り続けた。

『BrasilCafe BON』の珈琲は、ブラジルのパラナ州・ロンドリーナの豆を焙煎するところからスタートする。

生の珈琲豆を焼くのは大変な作業だ。

焼きすぎてもダメだし、焼きが甘いと酸味が強い味わいになってしまう。

香り高い珈琲を作り出すには、熟年の職人技が必要になる。

ブラジル珈琲一筋で向き合ってきた谷川さんは、絶妙な焼き加減を知っている。

珈琲と一緒にブラジル料理を楽しめるのも『BrasilCafe BON』の魅力のひとつ。

今回は、奥様のおすすめメニュー「パステル(コーヒー付き) ¥900」を頂いた。

具材は、牛挽き肉とエビチーズの2種類。

サクサクに揚げられた谷川さんオリジナルの生地と、中から溢れ出す具材が見事にマッチングしている。さっぱりとした味わいを楽しみたい方は、酢の物を中に詰め込んで。

 

どんな大変なことがあっても、辛いことはなかったという谷川さん。

そこには、強い絆で結ばれた夫婦の愛があった。

「結婚して今年で58年目。人生の半分以上一緒に過ごしてきて、大変なことも二人三脚で歩んできました。やりたいことを好きにやってきたけど、文句も言わずそっと背中を押してくれた奥さんには本当に感謝をしています。これからもずっと仲良くやっていきたいですね」。

少し照れた顔の谷川さんと隣で微笑む奥様。

“絆”という糸が2人をしっかりと結んでいるのが見えた気がした。


BrasilCafe BON

 住所:音更町木野西通15-3

:0155-30-5157

営業時間:10:00~21:00

定休日:火曜

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